田中靖浩公認会計士事務所

　5年を振り返ってのコメント？ ホームページに載せる？
　 いいから適当に書いとけよ。 ・・・そういうワケにはいかない？
　 ・・・そうだな。
　 「どうして会計士が落語家と共演するんですか？」
　 この質問を5年間でどれだけ訊かれただろう。
　 いまでも、答えられないんだよ。「やりたかったから」としか。
　 奇をてらった売名行為のように思われて腹が立ったこともあった。
　 オレさ、この仕事ほど頭を使って考えている仕事はないんだよ。
　 会計の本を書く10倍大変なんだって、会計と落語の併せネタをつくるのは。

　 これからの活動？　いろいろ考えているよ。
　 でも「何をやろうか」って考えると、何も思いつかないんだよな。
　 真面目な仕事で忙しいときに限っていいアイデアが浮かぶんだよ。困ったことに。
　 いま志の吉さんに協力してもらって、国際会計基準の新作落語の脚本書いている。
　 オチがさきに決まったから、もうすぐ完成すると思うよ。
　 2011年の春には演ってもらえるんじゃないかな。これは我ながら楽しみだ。

　 それにしてもここまで5年、いろんな人にお世話になった。
　 共演者、スタッフ、お客さん、チケット関係者、ホール担当・・・・。
　 緊張した初公演の場を提供してくれたジェイカレッジの人たち。
　 あのあとも毎年のように共演の場をつくってくれている。
　 あのジェイカレッジで育ててもらったようなものかもしれないな。
　 初公演の応援にわざわざ福岡から来てくれた友人たちも忘れられない。

　 5年前と変わったこと？
　 落語を聴くのが少しつらくなった。 仕事のことを考えて無心で楽しめない。
　 それから、よく落語会で「田中さん！」と声を掛けられるようになった。

　 それよりこれから5年経ったらどんなふうになっているんだろうね。

　 オレも、志の吉さんも、君たちも、お客さんも、そして日本もさ。
　 志の吉さんはきっと真打ちだね。 オレは・・・・きっといまと変わらないな。
　 ま、笑いを忘れずに生きていればなんでもいいんだけどさ。

　早くも会場を探してチケットを自分たちで売る自主公演へ。先に日程と出演者が決まった。 師匠はＦＭで聞いた「ストーカーと呼ばないで」という曲を大絶賛。 「今回のコラボに絶対必要だ」と歌手のオオタスセリさんに出演交渉しにいったらしい。 なんという行動力。 その師匠から「急げ」と指示され、スタッフ総出で会場探し。 いくつかの候補を師匠に告げたが、すべてNG。開催予定日はどんどん近づき焦りは高まる。 ある日事務所のすぐそばで「東京建物八重洲ホール」の看板を発見し早速師匠に連絡。
　師匠はその日のうちにホールを下見し、仮予約まで済ませる早業で会場決定。 （ちなみにこの会場を気に入った志の吉さんはその後ここで独演会を開催中）

　初めての自主公演では師匠から注文の嵐。私と姉弟子は夜な夜な新宿のタイ料理屋で打合せ。 当日演者としても忙しかった師匠は、自分が出した無茶な要求などすっかり忘れ、おまけに終演予定時間も忘れ、 撤収を気にするスタッフを最後まで大いに悩ませた。 あの初公演を思い出すだけでいまでも胃が痛い。 でも打ち上げのお酒は本当においしかった。